感想日記

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ジャンル問わず、何がしかについての感想を書きます。ネタバレご注意です。



 

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GJ部SS「上下逆転」

「いつも先輩たちばっかり、ズルいデスよ」
 いつもの放課後、いつもの部室。珍しくお菓子も食べずに仁王立ちで宣言したのはタマだった。普段は部長がオピニオンリーダーとなり、そこからしょうもない騒ぎの輪が広がるのがGJ部式であったが、今日のオピニオンリーダーは、珍しくタマのようだった。
「何がズルいんだよ」
 部長はいつものようにこたつに入って温まっている。肩から下をこたつ布団の中に収めて、首だけで返事している様が少しハムスターっぽかった。
「この部活、タマの後輩がいないんデスよ。メグ先輩たち二年生と、まーちゃんたち三年生しかいねーのデス。タマばっかり後輩扱いされてフラストレーション爆発デスよ」
「そりゃあ、タマは一年生だから」
 一年生に後輩などいるはずもない。そういう理屈のことを言っているわけではないのは京夜にもわかってはいる。
「たまには先輩たちも後輩になればいいんデス」
 もはや言っていることがめちゃくちゃだ。
 だがこういう話に、部長が乗らないはずがないのも京夜にはわかっていた。
「面白そうだな、それ!」
 やっぱり。
「よーし、今日一日学年逆転すんぞ。タマが三年生で、キョロと恵が二年生だ。私とシィときららは一年な。はいスタート!」
「えぇ、ちょ、部長決めるの早いですって!」
「コラキョロ、お前私の上級生だぞ。敬語禁止だ禁止」
 そういう部長も、上級生相手にタメ口になっている。体に染み付いた癖というものは早々簡単には覆らない。
「あれあれ、今日はお姉ちゃんたちが後輩さんなんですかー?」
 恵ちゃんが紅茶を淹れたポットを載せたトレイを持ってやってくる。
「そうなると、これは後輩の役目だね。紅茶は私が持ち運ぼうか。恵・先・輩」
 紫音さんが席を立って、恵ちゃんからトレイを受け取った。パソコンのモニタには、学年の差など関係なくボロ負けの世界統一王者さんが再戦の要求を出してきている。
「あ、ありがとうございますー紫音さん」
「さん付けも禁止だ!メグは私達にタメ口限定だ!キョロ、お前もだぞ」
「だから部長が敬語になってないじゃないですか。それに僕、普段からクラスメイト相手にもこうなんですけど」
「だったらオレマンにでもなればいいだろ。おいきらら、お前もキョロ先輩の肩でも揉んでやれ」
 いつものソファ、少し離れたところでいつもどおり肉をかじっていたきららが、言われてこたつに寄ってくる。
「キョロ。せんぱい?」
 あまり普段から上下の関係を意識させないきららは、どう動いていいかいまいちわかっていないらしい。
「さぁキョロ先輩、紅茶だよ。恵先輩ほど上手く注げているかはわからないけどね」
 部長も紫音さんも、先輩キャラの京夜を期待して目がらんらんとしている。京夜は意識して、オレマンを頭のなかに降臨させる。
「お、おう。サンキュー、紫音」
「はうっ」
 紫音さんが勝手に感銘している。今ばかりはスルーしておこう。
「みんな勝手に話進めて、タマ放置デスか」
 放置されていた事の発端がやってきた。
「今日はタマが最上級生なんデスから、こたつの席はタマが一人で座るデスよ」
「おぉ、そうなると誰の上に座るか変えないとだな」
「基本的に身長・体重の総合的な差から考えると、人の上に乗るのは真央と…キョロ先輩かな?」
 普通恵ちゃんだと思うんだけど、京夜にもあえて黙っているだけの防衛本能は備わっていた。紫音さんも恐ろしいことを言う。
「じゃあお姉ちゃん先輩は、私の上ですねー」
 恵ちゃんが部長を呼んで、膝の上に乗せている。普段からしているのか、実に手慣れた様子だった。部長の長い髪を片方に寄せて、ヘアバンドで髪をまとめている。
 そしてそこで、京夜は気付いた。自分の選択が待たれている、と。
 タマは一人で座ると言っていて、恵ちゃんの上にはすでに部長が座っている。つまり残っているのは、紫音さんときらら。
「え、えぇ!?いや、僕が紫音さんたちの上に座るなんて―――」
 さん付けがルールに抵触したのか、部長がすごい勢いで睨んできた。でも今迂闊にオレマンを呼んでしまうと、男らしく勢いで誰かの上に座ってしまいそうな気がする。それはとても危険で、このイベントが終わった後、女性陣からの叱責を受けることは間違いなかった。
「ぼ、僕これでも一応男なんですけど…さすがにし、紫音と、きららの上に座るのはアウトですよアウト」
 結局最後がいつもどおりの敬語になってしまった。
「私は、気にしないのだけどね」
「きらら。へいき。」
 どんどん逃げ道が塞がっていく。
「シィもきららもあんま自覚ねーよなー」
「何の話ですかーお姉ちゃん先輩ー。あ、なんなら四ノ宮くんも私の上に座りますかー?」
「…お前もだな」
 仲のいい姉妹だ。なんの解決にもなってないけど。
 どうしよう、どうしよう。いっそ逃げようか。でも逃げたら明日もっと大変なイベントに巻き込まれそうな気がする。キョロ子を降臨させれば大丈夫だろうか。いや、きっと背中の感覚までは我慢できない。
「…しゃーねーデス。キョロ、私の椅子になりやがるデスよ」
 まさかの助け舟がやってきたのは、タマの方からだった。確かに弟妹の面倒を見ているという話は聞いていたが、こうして考えると、タマは意外と人の上に立つのが似合うのかもしれない。
 その後タマは背もたれを有効活用してきたり肘掛けを要求したりと、ある意味部長よりも面倒な存在となった。
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